「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」、どちらも所得税・住民税として納める(納めた)税金を控除できるオトクな制度です。
しかし、これらを併用できることは意外と知られていません。
ここではこれらの制度を併用する際の方法や注意点などについて解説します。
「住宅ローン控除」と「ふるさと納税」を併用する方法
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除は「住宅ローン減税」とも呼ばれ、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。
合計所得3,000万円以下の個人が、住宅ローンを利用して住宅を新築または取得、増改築した場合に利用できます。
住宅ローンの年末における残高の1%相当額が、最大40万円まで(認定長期優良住宅などは50万円、個人間売買の中古住宅は20万円)、その年に納税した所得税から控除されます。
所得税から引き切れない額がある場合、最大136,500円を住民税からも控除することができます。(所得税の課税総所得金額の7%限度)
基本的に控除される期間は10年間ですが、一定の条件を満たせば、消費税10%が適用された住宅を取得して2019年10月1日から2021年12月31日までに入居した場合、期間は13年間に延長されます。
ふるさと納税とは?
ふるさと納税とは、納税者が選んだ任意の自治体に寄附をした場合、最低自己負担金2,000円を除き、寄附金分が所得税や住民税から控除される制度です。
税に対する意識の向上と地域社会の活性化などを目的としており、控除額は寄附者の年収や扶養家族の人数などによって上限があります。
しかし、実質自己負担2,000円で、地域の特産品などの返礼品を受け取ることができるため、近年ますます人気を集めています。
住宅ローン控除とふるさと納税を効果的に併用する方法
これらの制度は併用することができますが、確定申告をする場合、注意するべきことがあります。
確定申告をする際、ふるさと納税の寄附金額は所得税から控除されるため、同じく所得税から控除する仕組みの住宅ローン控除の額が減ってしまうことがあります。
また、住宅ローン控除では所得税から控除しきれなかった額は住民税からも控除することができますが、限度額は課税総所得金額の7%(最大136,500円まで)と上限が決められています。
このように控除される限度額が決まっているうえ、住宅ローン控除はふるさと納税分の控除後に適用されるので、確定申告をすると、上限額満額の控除が受けられないケースが起こるのです。
そのため、それぞれの控除効率の低下を軽減するためには「ワンストップ特例制度」の利用をおすすめします。
ワンストップ特例制度とは、確定申告が不要な給与所得者で、寄附する自治体が5団体以内の場合は、確定申告なしで控除ができるというものです。
寄附金はふるさと納税をおこなった翌年の6月以降に支払う住民税額の減額という形で控除され、所得税からは控除されないため、住宅ローン控除をフルに適用できるのです。
確定申告がネック?住宅ローン控除とふるさと納税を併用する際の注意点
住宅ローン控除を利用するためには、初年度に確定申告が必要です。
したがって、1年目はワンストップ特例制度を利用することができません。
また、「医療費控除の手続き」や「株取引の損失の繰越しや損益通算の手続き」「会社員で給与収入が2,000万円を超える」「副業収入が20万円を超える」「事業所得や不動産所得がある」などのケースも、確定申告をする必要があるため、ワンストップ特例制度は使えないことを知っておきましょう。